脱衣室・更衣室等の設計標準

2.10.2 脱衣室・更衣室等の設計標準

(1)出入口の有効幅員、空間の確保等

  • 出入口の有効幅員は、80㎝以上とする。

  • 車椅子使用者のための脱衣・更衣スペースを設ける場合には、出入口前後には、車椅子使用者が直進でき、車椅子で転回できるよう、140cm角以上の水平なスペースを設ける。

  • 床には、段を設けない。

設計例

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(2)戸の形式

  • 出入口の戸は、自動的に開閉する構造その他の車椅子使用者が容易に開閉して通過できる構造とし、かつ、その前後に高低差がないものとする。

  • 戸の形式については、2.8.1 利用居室の出入口の設計標準(2)を参照。

(3)車椅子使用者用の脱衣・更衣スペース

① 設置数、位置

  • 不特定多数の利用する脱衣室・更衣室のうち1以上(男子用及び女子用の区別があるときは、それぞれ1以上)には、車椅子使用者が円滑に利用できる脱衣・更衣等のスペースを設けることが望ましい。

  • 異性による介助に配慮し、男女が共用できる脱衣室・更衣室内に、車椅子使用者が円滑に利用できる脱衣室・更衣等のスペースを1以上設けることが望ましい。

② 空間の確保等

  • 車椅子使用者のための脱衣・更衣スペースには、車椅子使用者が円滑に利用することができるよう、十分な空間を確保することが望ましい。

  • 車椅子使用者が360°回転できるよう、直径150㎝以上の円が内接できるスペースを、1以上設ける。(設備等の下部に車椅子のフットレストが通過できるスペースが確保されていれば、その部分も有効スペースとする。)

③ 収納棚等

  • 車椅子使用者の脱衣・更衣等のスペースの近くに、車椅子使用者用の収納棚やロッカー等を設ける。

  • 収納棚の高さは、下端:床から30㎝程度、上端:床から120㎝程度とする。

  • ロッカー等のハンガーパイプやフックの高さは、床から120cm程度の低い位置とするか、高さの調節ができるものとする。

  • 収納棚等の奥行きは、60㎝程度とする。

  • 収納棚等の形状は、下部に車椅子のフットレストが入るものとする。

設計例

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(4) 車椅子使用者用便房

  • 不特定多数の利用者が利用する脱衣室・更衣室に車椅子使用者用の脱衣・更衣スペース等を設ける場合には、脱衣室・更衣室内、又は脱衣室・更衣室の近くに、1以上の車椅子使用者用便房を設ける。

  • 車椅子使用者用便房については、2.7.2 個別機能を備えた便房の設計標準 (1)及び(2)を参照。

(5)部品・設備等

① 手すり

② 脱衣のためのベンチ等

  • 高齢者、障害者等が着替えの際に、横になる場合もあるため、1以上の脱衣のためのベンチを設ける。

  • 利用者の状況に対応し、介助スペースを確保することができるよう、脱衣のためのベンチを床に固定することは避ける。

  • 脱衣のためのベンチ座面の高さは床から40~45㎝程度、幅は180㎝程度以上、奥行き60㎝程度以上とする。

  • 脱衣のためのベンチには、上体が寄り掛かることのできるヘッドボードのあるものとすることが望ましい。

  • 脱衣のためのベンチ表面の仕上げはクッション材付きとし、滑りにくく耐水性のあるものとする。

留意点:ベンチのわかりやすさ

  • 弱視者(ロービジョン)や色覚多様性のある人の視認性や、高齢者のわかりやすさを確保するため、脱衣のためのベンチと壁・床の仕上げ材料は、ベンチと壁・床の色の明度、色相又は彩度の差の確保に配慮して選定することが望ましい。

留意点:収納、ロッカー

  • 視覚障害者が、鍵のある収納やロッカーを使用する際には、脱衣室・更衣室に同行し、鍵の位置、使い方等について、実際に手で触れてもらいながら説明することが望ましい。

  • 更衣室の下足入れや収納棚は、視覚障害者が認知をしやすいように、点字表示等をすることが望ましい。

③ 洗面器、鏡

  • 洗面器の水栓金具はシングルレバー方式等、湯水の混合操作が容易なものとする。

  • 複数の洗面器を設ける場合、1以上の洗面器は車椅子使用者の利用に配慮したものとする。

  • 洗面器の下部には車椅子使用者の膝が入るスペースを確保する。

  • 洗面器の吐水口の位置は、車椅子使用者の利用に配慮した位置(洗面器の手前縁から30㎝程度)とする。

  • 鏡は、洗面器上端部にできる限り近い位置を下端とし、上端は洗面器から100cm以上の高さとすることが望ましい。

④ 乳幼児連れ利用者への配慮

  • 不特定多数の利用者が利用する脱衣室・更衣室には、1以上(男女の別があるときはそれぞれ1以上)の乳幼児用おむつ交換台を設ける。

  • 乳幼児用おむつ交換台については、2.14 F 乳幼児用設備を参照。

(6)仕上げ等

① 床の仕上げ

  • 床は濡れても滑りにくく、転倒時や床に座ったままで移動する場合にも体を傷つけにくい材料で仕上げる。

② ガラス

(7)案内表示、情報伝達設備等