2.14 I 情報伝達設備
(1)文字情報による情報伝達設備
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施設用途や規模等を考慮した上で必要に応じ、文字情報による情報伝達設備を設けることが望ましい。
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官公署、銀行、病院、薬局等、呼び出しを行うカウンターでは、音声による呼び出しとあわせて、聴覚障害者や高齢者等の利用に配慮して電光表示板等を併せて設ける。
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視覚情報設備の導入については、設備設計の段階で検討する必要がある。
留意点:電光表示の色彩
- 赤い光の電光表示は、弱視者(ロービジョン)や色覚多様性のある人には見えにくい。色覚多様性のある人には、光った赤は、黒に近い色に見える。
留意点:カラーライトの使用
- 聾学校では廊下で、赤・黄・緑のカラーライトの点灯等により、チャイムや館内放送の意味を知らせる工夫が行われている。施設によっては応用可能な方法と考えられる。
設計例
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(2)光や振動による情報伝達設備
- 施設用途や必要性を考慮した上で必要に応じ、聴覚障害者等への情報伝達のため、室内信号装置※を設置する、又は室内信号装置の受信機を貸し出すことが望ましい。
※ドアノック、ドアベルやインターホン、電話の着信、目覚まし時計のアラーム等の音等を感知して、時計等の受信機器の光の点滅(フラッシュライト)や振動等により、視覚情報や体感情報として伝える機器
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ホテル又は旅館の客室の非常警報装置については、2.9.1 客室の設計標準(3)⑤ 非常警報装置(ハード面)を参照。
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その他の非常警報装置、避難誘導については、2.13.1 避難設備・施設の設計標準(3)②非常警報装置、③避難誘導のための情報伝達設備を参照。
留意点:光や振動による情報伝達
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聴覚障害者には館内放送やアナウンス、サイレン等の音声情報が伝達されないため、これらを画像(視覚情報)や光・振動等の情報に転換して伝えることが望ましい。
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音声情報を視覚・光・振動に転換する方法は、建築物に組み込んだ建築設備によるものと、備品等で対応する方法がある。施設の利用形態により、どの方法を採用するか、十分に検討することが望ましい。
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聴覚障害者対応の技術は、必ずしも建築物ではなく、備品で対応するものも少なくないが、建築物との連携に十分に配慮する。
留意点:室内信号装置のしくみ(聴覚障害者等への対応イメージ)
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ドアのノック又は呼び出し、火災報知器、電話・携帯メール等の各箇所に貸し出しの発信機を設置し、感知した情報を受信機が受け取り、光(フラッシュライト)・文字又は絵表示等の視覚情報や、振動等の体感情報で伝達する。
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目覚し時計、ドアベル、電話のほか、乳児の泣き声、ファクシミリの受信音などを感知し、照明器具(フラッシュライト、回転灯、スタンドを含む)や振動器を作動させる装置の検討も望ましい。
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- 屋内信号装置の技術は発展途上にあり、まだ統一化・規格化もされていないため様々な方法が採用されている。今後の技術革新、標準化も視野に入れた対応が望ましい。
(3)音声による情報提供設備
- 難聴者等の利用に配慮し、会議室や客席・観覧席、ホテル又は旅館の宴会場等には、聴覚障害者用集団補聴装置(ヒアリングループ(磁気ループ)システム、FM補聴装置(無線式)、赤外線補聴システム)等を設ける。
留意点:客席・観覧席、会議室等における難聴者向けの対応
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集団補聴装置には、アンテナ線を床下にあらかじめ敷設もしくは床上に事前に敷設することで、アンテナ線に囲まれた範囲の難聴者の補聴器に、目的の音声だけをクリアに届けることができるヒアリングループ(磁気ループ)システムや、FM電波を通して雑音を抑えた音声を聴覚障害者に届けることができるFM補聴システムや、赤外線を通して音声の信号を補聴器に届ける赤外線補聴システム等がある。
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アンテナ線を床上に敷設するタイプのヒアリングループ(磁気ループ)システムには、利用者の人数に応じてアンテナを敷設する範囲を設定できる特徴がある。
設計例
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