2.12.3 飲食店舗の設計標準
(1)有効幅員、空間の確保等
① 車椅子使用者等が利用できる席
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車椅子使用者が車椅子のまま食事ができるよう、原則として可動式の椅子席とする。
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固定席を設ける場合には、可動式の椅子席を併せて設ける。ただし、客席総数の1/2以上の席を可動式の椅子席とすることが望ましい。
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可動式の椅子席を設けるとともに、テーブルも可動式とすることで、レイアウト変更や車椅子使用者の通路幅員の確保等ができるようにすることが望ましい。
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可動式の椅子席等は、車椅子使用者と同伴者、又は2人以上の車椅子使用者が同時に利用できるものとすることが望ましい。
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可動式の椅子席等は、車椅子使用者だけに特別に対応するものではなく、他の利用者も共通して利用できるものとして設けることが望ましい。
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知的障害者、発達障害者、精神障害者等が落ち着いて食事を行うことや、子ども連れの方が安心して食事を行うこと等、多様なニーズへの対応として個室(簡易な仕切りや間仕切等を含む)を用意することが望ましい。
留意点:高齢者、障害者等に使いやすい椅子席の設置に向けて
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椅子が固定された席(固定ブース席を含む)や座敷の席は、一般的に車椅子使用者がアクセスしにくいだけでなく、歩行困難者や高齢者等にも使いづらい場合もある。
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椅子を動かすことができれば、車椅子使用者は椅子に移乗することなく、車椅子のまま席を利用することができる。
留意点:カウンター型の飲食店舗の座席
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車椅子使用者や座面の高い椅子を使えない人に配慮し、カウンター席は、可能な限りローカウンター席も設ける。
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ローカウンター席は、車椅子使用者がアクセスしやすい位置に設けることが望ましい。
カウンター型の飲食店の例
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飲食店の例
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設計例
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(2)部品・設備等
① テーブル・カウンター、可動式の椅子
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テーブル、カウンターの下端の高さは65~70cm程度とし、上端の高さは70~75cm程度とする。
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テーブル、カウンター等の下部スペースの奥行きは45㎝以上とし、車椅子使用者が席を利用するための奥行きは120cm以上とする。
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車椅子使用者がテーブルに接近できるよう、テーブルの脚の位置は、両脚の間隔(内法)を70cm以上とするか、又は両脚のない中央柱脚とする。
留意点:高齢者、障害者等の施設用途等を踏まえた家具の設定
- 高齢者、障害者等の施設用途を踏まえて、一定の利用者の特性や体格等を考慮して、座席のテーブル・椅子の高さ等は個別に設定する場合もある。
可動式の椅子席の例
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テーブルと椅子をレイアウトする場合には、車椅子使用者でも利用可能なテーブルの大きさや通路幅を踏まえて、全体計画を行う。
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車椅子使用者の利用できるテーブルの寸法は、下記の通りとし、選定するのが望ましい。
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4人掛け: 幅145~160cm程度×奥行き75~90cm程度
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2人掛け: 幅 90cm程度×奥行き75~90cm程度
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いずれもテーブル下端高さ65~70cm程度、上端高さ70~75cm程度とする。
テーブルの寸法例
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4人掛けテーブル 2人掛けテーブル
② 配膳カウンター、ドリンクカウンター
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配膳カウンターの高さは、車椅子使用者が利用できるよう配慮したものとすることが望ましい。
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配膳カウンターの下部の奥行きは、車椅子使用者の膝が入るスペースを確保することが望ましい。
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セルフサービスの飲食店舗やフードコート等の呼び出しを行うカウンターには、音声による呼び出しとあわせて、振動等で呼び出しを伝える室内信号装置を設けることが望ましい。
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配膳カウンター前の通路は、カウンター待ちの背後の通行を考慮し、150~180cm程度を確保する。
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カウンターについては、2.14 C カウンター・記載台・作業台・事務机等を参照。
配膳カウンターと通路の例
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③ 冷蔵庫、棚
- セルフサービス方式の場合、冷蔵庫や棚の扉は引き戸であることが望ましい。
(3)仕上げ等
- 床の表面は、濡れても滑りにくい材料で仕上げる。