2.7.3 簡易型機能を備えた便房の設計標準
簡易型機能を備えた便房
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(1)車椅子使用者用簡易型便房
- 車椅子使用者用簡易型便房は、個別機能を備えた便房以外の便房に、車椅子で使用可能な有効幅員や空間を確保し、腰掛便座、着座や立ち上がりのための手すりを設けることで、自力で腰掛便座に移乗が可能な車椅子使用者等の利用を可能とする便房であり、以下に配慮して設計する。
① 設置数、配置
- 施設用途や規模等を考慮した上で、便所のうち1以上(男子用及び女子用の区別があるときは、それぞれ1以上)には、車椅子使用者用簡易型便房を1以上設ける。
② 出入口の有効幅員、空間の確保等
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出入口の有効幅員は、80cm以上とする。
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車椅子で使用可能なゆとりある広さを確保する。
③ 戸の形式
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原則として引き戸とし、やむを得ない場合には外開き戸等とする。
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壁の隅に出入口がある場合には、車椅子使用者が戸や取っ手に近寄ることが困難な場合もあり、限られたスペースにおいて車椅子使用者が利用可能なよう、出入口の位置や戸の形式、取っ手の位置や形状、錠の位置等の工夫を行う。
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その他については、2.7.2 個別機能を備えた便房の設計標準(1)②を参照。
留意点:2枚引き戸、折れ戸・内開き戸
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引き戸では戸の開口幅が不足する場合、2枚引き戸や折れ戸を使用すると十分な開口幅が確保できる場合がある。
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内開き戸では、車椅子使用者が利用できないが、外開き戸又は引き戸にすると利用できる場合がある。
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内開き戸を設ける場合は内側に十分な開閉スペースを確保る。
④ 部品・設備等
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腰掛便座、着座や立ち上がりのための手すりを設ける。
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手荷物置き台や小物・衣類をかけるフックを設ける。
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フックは、立位者、車椅子使用者の顔面に危険のない形状、位置とするとともに、1以上は車椅子に座った状態で使用できるものとする。
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その他については、2.7.2 個別機能を備えた便房の設計標準(1)③を参照。
車椅子使用者用簡易型便房
(直進又は側方進入の場合)の例
(側方進入の場合)の例
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設計例
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(2)オストメイト用簡易型便房
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整備が義務付けられたオストメイト用設備を有する便房とは別に利用者の分散を図るために整備する場合や、専用の汚物流しの設置スペースが取れない改善・改修等、構造上やむを得ない場合には、オストメイト用簡易型便房を設ける。
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オストメイト用簡易型便房とは、オストメイト簡易型水洗設備(腰掛便座の背もたれに水洗をつけたもの等)を設けたものであり、以下に配慮して設計する。
① 設置数、配置
- 施設用途や規模等を考慮した上で、便所のうち1以上(男子用及び女子用の区別があるときは、それぞれ1以上)に、簡易型機能を備えた便房を1以上設ける。
② 出入口の有効幅員、空間の確保等
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出入口の有効幅員は、65㎝以上とすることが望ましい。
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戸が内開き戸の場合、戸の開閉動作に支障がないよう、便器前のスペースにゆとりある広さを確保する。
③ 戸の形式
- 2.7.2 個別機能を備えた便房の設計標準(1)②を参照。
④ 部品・設備等
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ストーマ装具や関連の小物等を置くことができる十分な広さの手荷物置き台(カウンター)を設ける。
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小物・手荷物やコート等の衣類をかけるフックを複数設ける。
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その他については、2.7.2 個別機能を備えた便房の設計標準(1)③を参照。
オストメイト用簡易型便房の例 設計例
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